事例002 高次脳機能障害3級3号 | 宇都宮交通事故弁護士

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解決事例 2

一定期間継続した意識障害のない被害者において、交通事故により外傷性の高次脳機能障害を負ったものと判断した事例

判例名 札幌高判平成18年5月26日
被害者年齢 17歳
性別 女性
職業 高校生
日時 平成9年6月14日
場所 北海道札幌市
受傷内容 頚椎捻挫、高次脳機能障害
後遺障害認定等級 3級3号
裁判所判決 札幌高等裁判所
認容額 123,952,413円

損害の内訳

後遺障害逸失利益 86,059,619円
後遺障害慰謝料 19,900,000円
過失相殺10% 0
弁護士費用 10,000,000円

事故の態様・状況

本件事故は、被害者の母が運転する乗用車(以下「被害車両」という。)が、右折すべく交差点にさしかかった際、対面する信号機の表示が赤色に変わったため、交差点の手前で停止したところ、同車の後方から交差点に向けて進行してきた加害者の運転する貨物自動車の右フロントバンパー付近が、被害車両のリアバンパー付近に衝突した事故である。

判決の要旨

交通事故後の被害者の障害(集中力低下、記銘力・記憶障害等)及び性格の変化につき、原因は本件事故以外に考えられないとして、事故との因果関係を認め、高次脳機能障害が認定された事例。

解説

本件の争点は、本件事故により被害者が高次脳機能障害を負ったか否かという点である。
被害者は、神経心理学的検査及び陽電子核磁気共鳴スペクトロスコピー検査において高次脳機能障害を示す検査結果が出たこと等を根拠として、加害者に対し、123,952,413円の損害賠償を求めた。これに対し、加害者は、脳の画像において萎縮や損傷等の所見が認められないこと、意識障害が一定期間継続していないこと、人格変化・知能低下が認められないこと等を根拠として、被害者の高次脳機能障害の発生、本件事故との因果関係をいずれも否定した。結論として、裁判所は、本件事故により被害者が高次脳機能障害を負ったものと認定した。

一般的に、高次脳機能障害と判断するためには、
①脳の損傷、②一定期間の意識障害、③一定の異常傾向・異常行動
が認めらる必要がある。しかしながら、上記②の要素については、意識障害を伴わない軽微な外傷であっても高次脳機能障害は起こり得るとする見解も少なくない。本件における被害者も一定期間継続した意識障害はなかったが、裁判所としては、短期間の意識障害であっても高次脳機能障害となる可能性を肯定し、上記②の要素を厳格に解する必要性を否定した。そして、画像、複数の医師の見解、脳の機能に関するテスト、被害者の本件事故前後の行動の比較等から、上記①、③の要素も充足するものとし、高次脳機能障害を負ったものと判断した。

交通事故等による外傷性の高次脳機能障害は、近時において徐々に社会的認識が定着しつつあるものであり、今後もその解明が期待される分野である。現在の臨床現場等では高次脳機能障害と認識されにくい場合があり、また、昏睡や外見上の所見を伴わない場合には、その診断が極めて困難となる場合もあり得るため、本件における裁判所の判断は、真に高次脳機能障害に該当する者の保護を図ったものといえるだろう。

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