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遷延性意識障害とは?
症状や治療法と後遺障害等級認定の慰謝料相場について

遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)は、いわゆる植物状態と言われるもので、介護をする家族の負担も非常に大きくなります。

ここでは、遷延性意識障害の症状と治療、後遺障害認定について解説します。

遷延性意識障害とは?

遷延性意識障害とは、頭部外傷や長時間の呼吸停止による低酸素脳症などにより昏睡状態となり、いわゆる植物状態となったものを言います。昏睡状態とは脊髄反射以外の反応がないもので、仮に目を開けていても意識はなく、会話など意思の疎通が図れない状態のことです。

医学的には、治療をしているにもかかわらず、次の6項目を満たす状態が3か月以上続く状態を遷延性意識障害と言います。

  • 自力移動不能(自立した移動ができない)
  • 自力摂食不能(自立した摂食ができない)
  • 糞便失禁状態(排泄が失禁状態)
  • 意味のある発語不能(意味のある発語ができない)
  • 簡単な従命以上の意思疎通不能(簡単な命令を受ければかろうじて応じるものの、意思疎通には至らない)
  • 追視あるいは認識不能(眼球は動くが、それが何かといった認識はできない)

遷延性意識障害と脳死はまったく違うもの

遷延性意識障害と混同されがちなものに脳死があります。しかし、これら2つはまったく異なるものです。

脳死は自力呼吸ができず脳波に動きはなく、人工呼吸を外すと亡くなってしまいます。一方、遷延性意識障害は脳波があり、自発呼吸もできます。意識はあるものの意思の疎通ができない状態とも言えるので、混同しないようにしてください。

遷延性意識障害の治療

遷延性意識障害の治療方法としては、脳や神経に刺激を与えるものがあります。代表的なのは次の3つです。

「脊髄後索電気刺激」は、体内に刺激装置を埋め込み、弱い電流を流し、定期的に脳を刺激するもの。「迷走神経刺激法」は電気で頚部の迷走神経を刺激するもの。「脳深部刺激療法(DBS)」は、脳の深部に留置した電極から電気を流し、刺激を与えるものです。

遷延性意識障害の治療期間

後遺障害認定に必要な症状固定は、救急病院から転院後、半年~1年後に行われることが多いようです。個人差や医者の方針もありますので、担当医の指示に従うようにしてください。任意保険会社の早期の治療終了要求には応える必要はありません。

なお、症状固定をした後は治療を継続してはいけないというものではありません。

遷延性意識障害を介護する家族の苦労

遷延性意識障害は長期入院ができず、3か月程度で転院をすすめられたり、退院して自宅介護になったりします。在宅介護となると、ヘルパーの手を借りながら、24時間の介護を行うことになります。

定期的な痰の吸引は夜中も続きますし、褥瘡(床ずれ)予防のために一日に何度も体位を変換しなければならず、夜も眠れない状態となります。このため、ご家族の肉体的、精神的苦痛は、非常に大きくなることも問題です。

苦労を少しでも軽減するためにも、住居の改造や介護費用などを確保するために、適切な賠償金を受け取ることが何よりも重要となってきます。もちろん、家族の慰謝料も別立てで算出し、請求してください。

後遺障害慰謝料の相場

症状等級自賠責基準裁判所基準
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの1級1号1,600万円2,800万円

遷延性意識障害が認められた場合、1級1号が適用されます。

逸失利益については、労働能力喪失は100%になるものの、「遷延性意識障害であれば、健康な人よりも生活費がかからないはずだ」と保険会社から言われ、減額を主張されることがあります。状況には個人差があり、不利な生活費控除の主張は排除するようにしましょう。

また、将来の治療費や介護費用、雑費、近親者の後遺障害慰謝料、家屋の建替費やリフォーム代などもしっかりと請求するようにしてください。

後遺障害認定には成年後見人が必要

遷延性意識障害となった被害者が未成年の場合、両親が親権者として対応しますが、成人の場合は成年後見人が必要となります。成年後見人とは、判断能力が著しく低下した人に変わって手続きやその後の管理を行う人のことで、家庭裁判所から選任されます。

言い方を変えると、成人が遷延性意識障害になった場合、家庭裁判所に行くことが後遺障害認定の最初になるということです。その後、加害者との交渉や訴訟は成年後見人が行います。もちろん、後見人選任にかかった費用も、損害賠償請求で必要経費として認められます。