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後遺障害9級に認定される症状と
後遺障害慰謝料、逸失利益相場

後遺障害9級に認定される症状

監修:弁護士 伊藤一星(弁護士法人宇都宮東法律事務所)
所属:栃木県弁護士会(登録番号:49525)
2020.8.27(最終更新日:2020.12.21)

後遺障害9級は、さまざまな後遺障害が残りつつも、一定の労働ができると判断されているものです。ただし、視覚や聴覚の不足や、外見や生殖に関する障害が残るなど、人生にかかわる問題も多く含まれます。
ここでは後遺障害9級に認定される症状を紹介し、それによって請求できる後遺障害慰謝料と逸失利益の相場を解説します。

後遺障害9級とは?

後遺障害9級は、1号から17号まであります。
詳しく見ていきましょう。

9級1号 両眼の視力が0.6以下になったもの
9級2号 一眼の視力が0.06以下になったもの

両目での視力が0.6以下、または、片目はよく見えるもののもう一方の目では視力が0.06以下になったものを差します。
視力とは眼鏡やコンタクト着用時の矯正視力です。

9級3号 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

半盲症は、視界の右半分、または左半分が見えなくなるもの。視野狭窄は、視野が狭くなったもの。これには、視野全体が狭くなる求心狭窄と一部分が不規則な形で狭くなる不規則狭窄が含まれます。視野変状は、暗点や視野欠損がある状態を言います。
両目に上記の症状があり、見える範囲が正常視野の60%以下になった場合がこれに該当します。

9級4号 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

両目のまぶたを閉じたとき、角膜が完全に隠れないほどまぶたを欠損した状態を指します。

9級5号 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

鼻の欠損とは、外鼻の軟骨部の全部、または大部分を欠損したものを指します。
「機能に著しい障害」とは、鼻呼吸困難または嗅覚脱失のこと。基準嗅力検査の認知域値の平均嗅力損失値が、5.6以上だと嗅覚脱失となります。この両方にあてはまるときに9級として認められます。

鼻の欠損に達しない一部欠損は、醜状障害となります。

9級6号 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

咀嚼(そしゃく)とは食べ物を咬み砕く機能のこと。固形食物の中に咀嚼ができないものがあるなど、咀嚼が十分にできない場合を指します。
また、「言語の機能に障害を残すもの」とは、4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち、1種以上の発音ができないものを言います。

9級7号 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
9級8号 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
9級9号 一耳の聴力を全く失ったもの

いずれも聴力に関するものです。
7号は両耳の聴力が純音聴力レベル60dB以上または50dB以上で、かつ明瞭度が最高70%以下のもの。8号は片耳の平均純音聴力レベルが80dB以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが50dB以上のもの。9号は片耳の聴力が完全に失われたものです。

9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
9級11号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

神経系統の機能には脳のダメージも含まれます。胸腹部臓器とは、呼吸器、循環器、小腸や大腸などの腹部臓器のほか、泌尿器や生殖器なども含まれます。
通常の労働を行えるものの、就労可能な職種が相当程度に制約されるものを指します。たとえば、てんかん発作やめまい発作、軽度の四肢の麻痺のために、高所作業や自動車運転ができない場合などです。

9級12号 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失ったもの
9級13号 一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの

12号は、片手の親指以外の2本を失ったもの。13号は片手の親指を含んだ2本、または親指以外の手指3本が動かなくなったり、感覚を失ったものを言います。

「手指を失う」とは、手指を中手骨(指の付け根のすぐ下、手のひらの部分の骨)、または、基節骨(指の付け根から第2関節までの骨)で切断したもの。または、親指については指節間関節(親指の中央の関節)、それ以外の指については近位指節間関節(第2関節)において、基節骨と中節骨(第1関節と第2関節の間の骨)が離断したものを言います。

「手指の用を廃した」とは、経麻痺の影響で指の存在感覚がなくなったり、物に触れる感覚や温度感覚などが完全に失われたりする状態を指します。

9級14号 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの
9級15号 一足の足指の全部の用を廃したもの

14号は片足の親指を含んだ2本を失ったもの、15号は片足の全ての指が動かなくなったものを言います。

9級16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの

外貌(がいぼう)とは、頭部、顔面部、くびなど、日常露出する部分のこと。ここに人目につく程度以上の大きさの瘢痕や線状痕、組織陥没、色素沈着などがあることです。中でも、9級は醜状を相当程度軽減できるとされる、長い線状痕が該当すると言われています。

9級17号 生殖器に著しい障害を残すもの

著しい障害とは、男性はペニスの大部分の欠損、勃起障害、射精障害。女性は、膣口が狭くなることでセックスが不可能となる、両側の卵管に閉塞や癒着がある、頸管に閉塞を残す、子宮を失うなどです。

後遺障害9級で受け取れる後遺障害慰謝料と遺失利益

後遺障害で請求できる代表的なものに後遺障害慰謝料と逸失利益があります。
後遺障害慰謝料は後遺障害が残ってしまったことに対して請求できるもの。逸失利益は後遺障害により労働に支障が出る(=収入が減少してしまう)ことに対する補償です。

後遺障害9級の自賠責保険限度額は、616万円。
これは、後遺障害慰謝料と逸失利益の合計金額です。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害で請求できる後遺障害慰謝料の基準には、「自賠責保険基準」、「任意保険基準」、「弁護士基準」の3つがあります。任意保険については推定値となりますが、まずは比較してみましょう。

自賠責基準任意保険基準裁判所基準
(弁護士基準)
249万円300万円690万円

このように、自賠責基準と裁判所基準(弁護士基準)には大きな違いがあります。しかも裁判所基準は、これまで積み重ねられてきた過去の裁判例における賠償額の目安にすぎません。実際には事案ごとに慰謝料額が調整されますので、慰謝料の請求には経験豊富な弁護士への依頼が重要です。

逸失利益の相場

逸失利益は後遺障害により労働に支障が出る(=収入が減少してしまう)ことに対する補償です。

9級の労働能力喪失率35%

後遺障害3級以上の認定がなされると、それ以降の労働が完全に不可能となり収入を得ることができないと判定されます。労働能力の喪失度合いによって被害者本人はもちろん、扶養する家族が生活に困ることがないようにこの制度があります。

逸失利益は以下の計算で求められます。

逸失利益 =
前年度の年収 × 労働能力喪失率(35%)
× ライプニッツ係数

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