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後遺障害の審査結果に納得できないときの異議申立て

監修:弁護士 伊藤一星(弁護士法人宇都宮東法律事務所)
所属:栃木県弁護士会(登録番号:49525)
2020.8.26(最終更新日:2020.12.21)

後遺障害の等級審査を受けた結果は保険会社経由で通知されます。その結果に納得できないときは異議申立てをして、再度審査を受けることができます。
ここでは、納得できる結果を得るための異議申立ての方法を解説します。

後遺障害等級認定の不服申立ての方法は3種類

結果に納得できないとき、泣き寝入りをしたり、逆に感情的になって文句を言ったりしても何も解決しません。正しい方法で不服を伝え、再審査してもらいます。

異議申立てには、大きく分けて3つの方法があります。

① 保険会社への異議申立て
② 自賠責保険・共済紛争処理機構への申請
③ 訴訟提起

それぞれを見ていきましょう。

保険会社への異議申立て

結果に納得できないとき、最初にやるべきなのは保険会社への異議申立てです。「異議申立書」を作成し、事前認定の場合は任意保険会社に、被害者請求の場合は自賠責保険会社に提出します。初回の審査を事前認定にして納得できなかった場合、異議申立てから被害者請求に切り替えることも可能です。

この異議申立ては何度でもできるのですが、注意しなければならないのは、提出資料が同じであるなら、結果も同じである可能性が高いということ。実際に審査をするのは保険会社ではなく自賠責損害調査事務所なわけですから、合理的な新たな医学的証拠を書類で揃える必要があるということです。

審査期間と時効

異議申立ての審査は、初回と同様、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所で行われます。ただし、審査の公平性と客観性を確保するため審査会が開かれることになります。ここには、外部の弁護士や交通法学者が参加しています。

この審査を経るため審査期間は長くなり、おおむね2~3か月程度かかります。また、事案によっては、半年以上かかることもあります。

自賠責保険の請求には時効があり、症状固定の翌日から5年経つと請求できる権利が消滅しますので、注意してください。

訴訟提起

それでも納得できない場合は訴訟提起をすることになります。いわゆる裁判で、裁判官に後遺障害等級の判断を求めます。

異議申立てのポイント

異議申立てを「異議申立書」だけで行おうとする方も多いですが、審査結果を覆すわけですから、何が不足していて、何を提出すれば納得のできる結果につながるのかを見極めることが重要です。そのためには、検査票や医師作成の照会回答書など、新しい資料を提出することを考えます。

新たな追加資料としては、以下が考えられます。
● レントゲンやMRIの画像
● 新たな診断書
●意見書
●照会回答書
● 検査結果
●事故に関する資料

認定される可能性があるにも関わらず、思うような結果にならなかったと言う場合、申請時に医療情報を伝えきれていなかった可能性があります。単に、記載もれや検査結果を添付し忘れていたというケアレスミスもあります。ですが、中にはやるべき検査がされていなかったケースや、認定するのに必要な医療情報が不足していたというケースもあります。

どのような医療情報が必要なのかは障害によって違います。異議申立てにおいては、不足した医療情報を見つけ出し、補うことを何よりも重要視してください。

何が不足していたのかの手がかりとなるのは、認定理由書に記載されている、非該当になった理由です。それを踏まえた上で、症状経過や治療状況を追加するのか、他覚的所見や新たな検査を実施するのかを決めます。場合によっては、主治医以外にセカンドオピニオンに意見を求めることも検討します。